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幕張本郷にある小児科 岩田こどもクリニックはこどもたちの笑顔が大好きです。

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〒262-0033 千葉市花見川区幕張本郷2-36-21 ワンダーランド1A
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子育て待合室2013年

2013年01月05日
ならぬことはなりませぬ
これは、2013年1月に岩田こどもクリニックの待合室内に掲示されたエッセイです。

ならぬことはなりませぬ

 数年前に、会津若松を訪ねたことがありました。そのときに、会津藩での幼児教育について知り、その素晴らしさに感銘を受けました。「什(じゅう)の掟(おきて)」という箇条書きに記された約束事が、こどもたちに徹底して仕込まれたのです。
 会津藩では、6歳から9歳の武家のこどもたちが近所同士で「什(じゅう)」という10人くらいのグループをつくって、毎日、順番に各家庭に集まっては反省会などをして、「什の掟」をしっかり守れるように切磋琢磨していたというのです。やがて本格的な教育を受けることになる「日新館」という藩校に入学する10歳までには、「什の掟」の約束をしっかり守れる子になるようにというのが目標でした。
 その「什の掟」には、
一、 年長者の言うことにそむいてはなりませぬ
一、 年長者にはおじぎをしなければなりませぬ
一、 うそをついてはなりませぬ
一、 卑怯なふるまいをしてはなりませぬ
一、 弱いものをいじめてはなりませぬ
一、 戸外でものを食べてはなりませぬ

ならぬことはならないのです

とあります。
現代でも充分に通用する、人間としての襟を正した行いについて、コンパクトに書かれているとうなずけます。ことに、戸外での食事の禁止というのは、衛生的観点からも正しいことです。また、当世よく見かける、パンやおにぎりを食べながら歩いたり、コンビニの前に群れて買ったものをその場ですぐに食べたりする姿も、けっして美しいものではありません。
ただ、大人たちの監視のもと計画的に行われるピクニックやバーベキューなどは、たぶん適応外になるでしょう。この掟は、あくまでも10歳以下のこどもたちが、自己判断で動く行為について、決められていると思うからです。
各地区による多少の差はあっても、さほど多い項目ではありません。そして、最後の一文の「ならぬことはならないのです」だけは、必ず記されていたそうです。
この一文に、いついかなる場合であっても、この掟を踏みにじってはいけないのだ、という強い教育的意志を感じます。当時にあっても、毎日の生活の中では当然、予測不能なさまざまな事態が生じるでしょう。それでも、基本中の基本であるこの掟だけは守るべし、と会津藩の武家のこどもたちは徹底して教育されていたのですね。言い訳もせず、ただまっすぐに掟を守ろうと努力するこどもたちも健気で立派だったと思います。それだけの念入りな幼児教育を経て、やがて藩を背負っていくリーダーたちが育てられたのでしょう。
鉄は熱いうちに打て、とも言います。
まだ幼いけれど話せば理解できる年齢。そのあたりからの基本的な人間教育、しつけがいかにその後の人生の基礎になっていくものであるかを再認識させてくれた、会津藩の教育との出会いでした。

2013年02月06日
楽しむことが一番
これは、2013年2月に岩田こどもクリニック待合室に掲示されたエッセイです。

先月に開催されたテニス4大トーナメントの全豪オープンで、42歳の伊達公子選手の活躍に世界中が注目しました。海外メディアからのインタビューはトップ選手並みに多かったそうです。同じ日本人女性として、誇らしく思えたできごとでした。
伊達選手は若い頃から海外のトーナメントツアーを転戦し、シングルスの世界ランキングを自己最高で4位まで上げ、日本では歴代最高位となった大選手でした。一旦は現役を退いたあと、数年前に12年くらいのブランクを経て現役に復帰し、再び世界ツアーを回り始めました。再復帰したのは世界と戦うためでなく、不振の日本人若手選手に刺激を与えるため、と自身のコメントにあります。それ以前の問題として、言うまでもなくテニスが大好きだからでしょう。
開催地メルボルンは、オーストラリア南東部に位置し、夏真っ盛り。日中は40℃近い厳しい暑さの中で行われた試合で、伊達選手が戦った相手は、自分よりも20歳前後は年下の若い選手ばかり。体力的に不利なのは明らかです。そんな中、1回戦でシード選手を破って3回戦まで進出。全豪最年長勝利記録を樹立しました。体力温存が重要な鍵となるような過酷な条件下、連日の試合日程になってしまうのを避けるどころか、むしろ良い調整になるからと、ダブルスにも意欲的に参戦。これもまた2回勝って、3回戦まで駒を進めています。
プロのテニスプレーヤーなのですから、他の多くの選手たちと同様に、一年中、とてつもない練習量、トレーニングをこなしているに違いありません。けれどもこの年齢になっても戦い続けることは、しかも引退後再復帰してまで戦うことは、ごく稀です。そして単複ともに3回戦進出。
この尋常でないエネルギーは、いったいどこからくるのでしょう。
「コートに立ってしまえば、自分が何歳であるのか、また、相手がどれくらい強いかなど関係ない」と伊達選手本人は言っています。そこで自分ができることを出し切るだけ。だから勝ち負けにはこだわらない。試合が終わってネット際で対戦相手と握手するまでは、何が起きるかわからないから、最後まで手を抜かないのだと。
これはもう、戦うべきは対戦相手ではなく自分自身である、とも思わせる言葉です。
置かれた環境で自らの最善を尽くすこと。言葉にすれば簡単ですが、それを徹底して実践することは至難の業でしょう。きっと彼女は自分自身への挑戦を続けているのですね。
もう一つ、伊達選手で感心するのは、いつも笑顔でいること。ご自身のホームページにも「Always Smile(いつも笑顔で)」とあります。日焼けしたその顔には、笑顔がじつによく似合うのです。
戦うからには勝ちたいけれど、たとえ負けたとしてもベストを尽くしてテニスをできることが自分は楽しい、負けるのは悔しいけれど、負けたからもうテニスをしたくないとは思わないし、次の日にはまた練習をしたくなると。
すべての原動力は「楽しむ」ということからきているのでしょうか。その場で自分を出し切るために日々練習を重ね、本番では何よりも試合ができることを楽しむ。
楽しむこと、笑顔でいることは余分な力みを取り除いてくれるものです。何事も心から楽しまなければ、良い結果も出にくいでしょう。つらい、苦しいと思いながらやっていても、ちっともおもしろくありません。何か困難なことに立ち向かうときこそ、まずは自分が楽しめるようにと、セルフコントロールしていくことが大事なのですね。

2013年03月07日
目の輝きに注目
これは、2013年3月に岩田こどもクリニック待合室に掲示されたエッセイです。

小さなこどもたちはまだ、自分の気持ちを的確に表現するための充分な言葉を持ちません。それでも、言葉に劣らないくらい的確に、心の動きを表すことができるのです。
生まれたばかりの赤ちゃんであれば、泣く声の張り、強さや調子。オナカスイタ、ネムイ、オシッコ、ウンチ、アツイ、コワイ、などなど。
少し経ってアイコンタクトができるようになれば、その目の輝き。オイシイ、オモシロイ、ソレヤッテミタイ、などと興味しんしん。
そして、大きい子であれば、身体全体にみなぎる力の強さ。生き生きとして、片時もじっとはしていない動きなど。
 風邪をひいて熱があるときなどは、目に光がありません。とろんとした目つきだったり、ボーっとしていたり、といったふうで、目に力が入らないのです。インフルエンザにかかって、高熱でぐったりしていた子が、抗インフルエンザ薬を使用し何日か経ったあとで再受診したときには、まるで別の子かと思われるほど、見違えて元気になっています。力なくうなだれて歩いていた姿も、話す声の調子も、もちろん目の光も、初めに来たときとはまったく違って見えます。
喘息で発作を起こしているときには、椅子にまっすぐに姿勢を保って腰掛けているのもやっと、というようなこともあり、自分の口で説明はできなくても、つらさが全身に現れます。たいていは、うつむきがちになっていて、浅い呼吸しかできません。ふだんなら感じられる、身体全体からわき出てくるような、こども特有のエネルギーは、どこかに行ってしまっています。
にもかかわらず、呼吸困難に対する応急処置としての吸入をした後では、急に呼吸が楽になるのか、突如、活発さを取り戻すことがよく見かけられます。それはまるで、しばらく静かに眠っていた子が、目を覚ましてむっくりと起き上がり、活動を開始したような感じに似ています。
病気の子は、きちんと治療・静養して回復してくると、こういった身体の出すサインも変わってくるものです。それを見分けられるのは、そして、見分けてあげなければいけないのは、いつもすぐ近くにいて子の世話をしている大人です。
まだ、小児科医になりたての頃、大学病院に川崎病で入院していた小さな女の子のお母さんの言葉に、ハッと気付かされたことがありました。
「もう症状もすっかり落ち着いてきて、食欲も出てきて、身体はたしかに回復してきているけれど、目の輝きがイマイチです。」
当時は小児科医としても母親としても、まだまだ新米だったので、この言葉はまさに目からウロコでした。その女の子は、はたから見れば、検査データも正常化し症状も落ち着いてきてはいても、まだ身体全体が充分に回復しきれていなかったのかもしれません。あるいは、何日も病院の狭いベッドの上での生活を強いられ、遊ぶこともできずにいて、心の元気がなくなっていたのかもしれません。母親から見れば、目の輝きがまだ、ふだんのレベルには戻っていなかったのでしょう。
研修中の小児科医として、日々、小さな患者さんたちの個々の症状や事象をとらえることに、必死になっているつもりでしたが、それだけではこどもの本態を見ていることにはならなかったのですね。
こどもたち一人ひとりに対して、身も心も含めたまるごと全体を一個の生命体として見守っていくこと、そんな視点を、まさにそのとき授けられました思いがしました。
こどもたちの目の輝き、強く生き生きとした光を保っていますか?

2013年04月10日
風疹の爆発的流行について
これは、2013年4月に岩田こどもクリニック待合室に掲示されたエッセイです。

このところ毎日のように、風疹流行に関する報道があります。
2011年以来、風疹の患者数は増加の一途をたどり、今年は第12週までに2418例の発生報告があり、2012年の年間患者数2353例を上回っています。これは、過去5年の同時期と比較しても約20倍~150倍の発生という非常事態です。
最新のデータによると、千葉県内でも1週間で32例の報告があり、8週連続で20例以上の報告となり、今年の累計は231例。内訳は男性189例、女性42例で、80%以上が男性。地域的には千葉市が61例と最多で、習志野市37例、船橋市29例、市川市24例、松戸市22例がこれに続き、県内でも東京寄りの地域に多く発生しています。
男性では30歳代が最多で35%、40歳代は26%、20歳代は24%で、この20歳代~40歳代が男性全体の85%を占めます。女性では20歳代が半数を占め、次いで10歳代が多いとのこと。
風疹は、ウィルスに感染して約2~3週間の潜伏期を経て、発疹、発熱、耳後部リンパ節腫脹などの主症状が現れます。おおむね、軽症に経過しますが、合併症として関節痛、血小板減少性紫斑病、脳炎などがあります。一般的に成人が罹った場合には、小児より重症化する傾向があります。
とくに妊婦が妊娠早期(妊娠20週頃まで)に罹患した場合に、生まれてくる赤ちゃんが心臓疾患、白内障などの眼疾患、聴力障害などを引き起こす先天性風疹症候群を発症する危険が高まります。現在、これだけの風疹大流行があると、今後生まれてくる赤ちゃんたちが心配です。社会的大問題として、大きくクローズアップされている大きな理由でもあります。
ではなぜ、今、風疹大流行なのでしょうか?
これにも日本のワクチン行政の遅れ、すなわち、世界から遅れをとっているワクチンギャップが大きな原因になっていると断言できます。本来は、すべての人が受けておかなくてはならないはずの風疹ワクチンを定期接種として受けられなかった世代の人たち、とくに男性が大勢いるのです。
風疹ワクチンは1977年に、中学生の女子を対象に、学校での集団接種として始まりました。のち、1995年度からは、接種対象が中学生の男女に拡大されましたが、医療機関での個別接種に変わったため接種率が上がらず、2001年には、高校生になっても接種できる経過措置が約2年間とられました。国の対応はかくも姑息的で、しかもこのように後手後手に回ることが多かったのです。
一方で、1980年に1歳から6歳の間に1回の定期接種の機会が設定され、その後も紆余曲折を経て、現在では麻疹風疹混合ワクチンとして、1~2歳で1回目、就学前の1年間に2回目の接種をする定期接種として定着しました(中学1年生対象の3期、高校3年生対象の4期は昨年度で終了)。
つまりは、1979年4月1日以前に生まれた男性は、定期接種で風疹ワクチンを受ける機会がありませんでした。これ以降に生まれた人たちでも、有効な接種勧奨がされずに接種していないケースがあるかもしれません。そして、もちろんそれと望まずに、今回の大流行の立役者となってしまったのも、この世代の男性たちです。
風疹ワクチンの接種記録がない方は、今すぐ接種を受けてください。仮に過去に接種してあったとしても、この機会に接種することは免疫強化につながります。本来は2回接種が必要なのです。またこの世代は、麻疹ワクチンについても2回の接種を完了していないことが多いので、麻疹風疹混合ワクチンとして接種することを強くお勧めします。
妊娠可能な女性と、生まれてくるこどもたちとを守るために、風疹のワクチンを接種してください。




医療法人社団 恵翔会 
岩田こどもクリニック岩田こどもクリニック


〒262-0033
千葉市花見川区幕張本郷2-36-21
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TEL    :043-275-3515
診療科目:小児科・アレルギー科
休診日 :木曜日・日曜日・祝日・土曜日午後
開 院 : 1994年12月16日


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